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一点張り・論説室から 幸せをつくる福祉の仕事とは=野沢和弘

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(毎日新聞・08/01)

 リゾートホテルはたまに行くから快適なのだ。どんなに素晴らしいホテルでも、この先ずっとホテル内だけで生きることを強いられたら、監獄のように感じ始めるのではないか。


 19人の障害者が殺害された「津久井やまゆり園」(相模原市)の建て替え問題で、町中に小規模施設を分散して建設する神奈川県の方針に家族会や職員らは反対している。「施設規模を小さくしないでほしい」「自分の仕事が否定されたと思う」「やまゆり園は私たちがやっとたどりついたかけがえのない家だ」


 離れたところにいる親には素晴らしい施設に思えても、そこでずっと暮らしている障害者はどうなのだろう。嫌ならいつでも辞められる職員と違い、障害者は嫌になっても言えず、ストレスで行動障害を起こすようになれば、ますます施設内に閉じ込められる。ただ現状に慣れるか、あきらめることしか許されないのである。


 親の不安はよくわかる。地域福祉など何もないころの辛苦を味わってきた世代にとっては特にそうだ。殺伐とした社会に自らの老いを重ねて恐怖を感じる人も多いだろう。


 米国で1980年代に障害者の施設収容が人権侵害とされ、「施設解体訴訟」が提起されたとき、最も強く反対したのは親たちだった。ところが、地域に生活の場を移した障害者の様子を見て価値観が最も変わったのも親たちだったという。「まるで改宗したかのようだった」と訴訟を担当した弁護士から聞いた。


 日本でも親の「改宗」は珍しくない。福祉職員が丁寧に説得し、障害者の地域での暮らしを手厚く支援し、障害者の幸せをそこにつくりだしたとき、親は劇的に変わる。福祉職員の仕事とはそういうものではないのか。


 都会で忙しく働く人にとってのリゾートホテルのように、病気を治すための病院のように、入所施設が必要なときもある。しかし、閉鎖的な環境の中で単調な集団生活をずっと続けることが、人間にとってふさわしいものとは思えない。少なくとも障害者本人の意思を時間をかけて確かめてからにしてほしい。


 施設経営者や職員には自覚がないかもしれないが、自らのやりがいや生活のため、親の不安を盾に取るようなことはやめるべきだ。


 「一点張り」は論説委員が交代で執筆します。


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