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シビックテックとは何か? 5分野別の事例に見る、社会問題のITによる解決方法

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写真は、コチョウラン。花言葉「幸福が飛んでくる」「純粋な愛」




(Yahoo!ニュース「ビジネス+IT」・12/08)

 「少子高齢化による人口減少」「都市圏への人口流入と偏り」「貧富の差の拡大」……。山積する社会問題は、行政サービスだけは解決できない。こうした現状に対し、テクノロジーを活用して課題解決する取り組み/概念が「シビックテック」だ。本稿では「シビックテックとは何か」を解説するとともに、その取り組みを紹介する。


●社会の“困った”をITで解決

 「シビックテック」という言葉を聞いたことがある人は少ないだろう。シビックテックとは「市民の課題を解決する/生活をより便利にするために、ITを中心としたテクノロジーを活用するアクション全般を指すキーワード」である。

 シビックテックを代表する存在となった非営利組織Code for Americaが米国で活動を開始したのは2009年。日本国内では、2013年5月にCode for Kanazawaが石川県金沢市で立ち上がったのを最初に、さまざまな活動が広がっている。

 「市民を対象としたテクノロジー活用」と言っても、そのアプローチはさまざまな形態がある。テクノロジーは既存の社会の仕組みに対し中立的で、その革新性に期待を込められやすい。たとえば、地方創生や働き方改革、介護問題など、どのような場面でもテクノロジーは活用されている。

 ベンチャー・ファンドのアンドリーセンホロウィッツ創業者、マーク・アンドリーセン氏は、「ソフトウェアはすべての世界を飲み込む」とウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、議論を巻き起こした。市民社会に向けたソフトウェアテクノロジーの活用は、まさに既存のシステムを飲み込みながら変革を促すパワーを秘めている。

 米国の行政学者でありメリーランド大学公共政策学部長のドナルド・F.ケトル教授は2008年、「自動販売機型政府」という概念を提唱した。これは、市民が行政サービスを自動販売機から商品を購入するように、安易かつ当たり前のように受けられると考える習性を指したものだ。

 実際、現代社会において市民生活の多くは教育や公共交通、セーフティネットなど行政サービスによってサポートをされ、今日までその安心と安全が担保されてきた。

 しかし、近年は「人口減少と高齢化」「都市圏への人口流入と偏り」「貧富の差の拡大」といった課題が深刻化し、行政サービスだけではこれらを解決することが困難になりつつある。

 そこで注目されているのが「シビックテック」である。テクノロジーという中立的な立場から、既存の社会の仕組みのボーダーレス化を促し、市民の生活をより便利に豊かにする。では、どのようなことが可能になるのだろうか。


●シビックテック活躍の5分野とは

 はじめにシビックテックの範囲を明らかにしておきたい。

 設立当初よりCode for Americaへの資金拠出を続けている、米国ナイト財団の2013年の資料では、シビックテックの範囲を以下の5分野に大別している。

・GovernmentData(オープンデータの利活用)
・Collaborative Consumption(P2Pシェア)
・CrowdFunding(クラウドファンディング)
・SocialNetWorks(ローカルSNS)
・CommunityOrganizing(コミュニティエンゲージメント)

 また、自治体向けサービスを提供する米アクセラが、IDCに委託して行った2015年に行った調査によると、2015年におけるシビックテック分野の市場規模は64億ドルになるという。



 まだ歴史が浅いシビックテックという言葉は、その様相を固定化されず流動的に扱われることが多い。なお本稿ではシビックテックを「市民の課題を解決する/生活をより便利にする」領域のすべてに適用するものと捉え、上図の通りに5つの領域に分け定義している。


●シビックテック5領域、9の事例

 では、それぞれの代表的な事例を見ていこう。


● 公共サービス領域「In Sync」

 「In Sync」はAI(人工知能)を用いた自動交通量調整システムで、リアルタイムに交通量を調整するサービスだ。米リズム エンジニアリングが提供している。交差点に設置されたカメラにより、交通量を画像解析し、その他のデータと照らし合わせて車両の進行方向や交通需要を予測、信号を秒単位で制御することで交通量を調整する。

 リズム エンジニアリングは2005年に設立されたベンチャーで、約30万ドルの資金調達を完了させている。2009年以来ミズーリ州の12の信号に同システムを設置した。その結果、年間3万4,000ガロンの燃料、9万5,000時間の運転者の時間、950万人の道路横断時の停止を抑制したとしている。

● セルフサービス領域「Smart Chicago Collaborative」

 Smart Chicago Collaborativeは2009年に現在の名称となった官民連携型の非営利組織であり、地域NPO、市民、産業界などを中心に設立されたシカゴの市民コミュニティだ。市民エンジニアや行政とともに、さまざまな領域でHackNightなどのコミュニティイベントを開催しながら活動を広げている。

 シビックテックコミュニティは全米だけではなく世界中に広がり、「Code for」を名乗ることもあれば、個別の名称を持って取り組む地域もある。

 このようなコミュニティではセルフサービスとして自らの課題を自らで解決する「DIO(Do It Ourselves)」の精神で、さまざまな市民向けサービスが展開されている。ただ、この点で誤解を生みがちだが、必ずしもサービスを開発することがこれらの活動の目的ではない。

 前述のSmartChicagoのLaurenellen McCannはシビックテックでの市民参加について以下の5点をポイントとしてまとめている。

・既存の社会インフラを使用する
・既存の技術スキルとインフラを活用する
・デジタルと非デジタルの双方向教育を
・オンライン/オフラインの共有スペースを活用する
・みんなでやろう!


● セルフサービス領域「のとノットアローン 」と「4919(食育)for Ikoma」

 国内でもコミュニティ活動によるセルフサービス事例が誕生している。代表的な事例として、石川県能登地方の「のとノットアローン」と、奈良県生駒市の「4919(食育)for Ikoma」を紹介しよう。

 のとノットアローンは、子育て中の母親たちが孤立している地域課題を解決したいという目的で作られたサービスだ。Code for Kanazawaが2015年9月に開催をしたワークショップを契機に誕生した。奥能登地方の子育てイベント情報など子育てに必要な情報が確認できる。

 特筆すべきは市民が主体となり、行政の協力を得ながら作られたという点と、革新的な技術を使用せず、利用しやすい形でサービスが構成されている点だ。

 一方、4919(食育)for Ikomaは、給食のアレルゲン管理と子どもの食育をサポートするサービスである。2016年奈良県生駒市が開催をした市民参加のアプリ開発コンテストのアプリ部門の最優秀作品が2017年10月に正式版としてリリースした。

 開発者は地域のシビックテックコミュニティCode for Ikomaにも参加する奈良先端科学技術大学院大学修士2年の2人。生駒市は、同アプリのために、公開しているオープンデータを改訂し、9月からアレルゲンの列を追加したという。

 上記2つのサービスは、Smart Chicago Collaborativeの紹介で挙げたシビックテックでの市民参加5つのポイントにマッチしているだろう。国内のセルフサービスにおいても特筆すべき事例だといえる。


● 民間サービス領域「NEXTDOOR」

 「NEXTDOOR」は、近隣の住民同士による情報交換を目的としたSNSサービスを提供する。2010年に設立され、計2億1000万ドルの資金を調達した。狭域のSNSならではの情報が掲載され、地域の犯罪情報や簡単な頼みごとの相談まで幅広い。2013年にはニューヨーク市と大規模な提携をし、防犯防災領域でのコミュニケーションインフラとしての採用が進んだ。米30州含む、全世界16万の地域で使用されている。

 最近ではVirginian-Pilot紙やABC11などのマス向けローカルメディアがNEXTDOORと提携し、ローカルエリアでの情報の網羅性が一層高まってきているという。


● 民間サービス領域「SocialCoin」

 「SocialCoin」はAIとブロックチェーンを活用した社会問題解決プラットフォームである。具体的には深層学習(Deep Learning)を活用して自治体が保持している情報を解析する。そのうえで、解決を求められる問題の優先順位を特定し、貢献度が高い市民に対し報酬をビットコインにて付与するというもの。シードラウンドにて15万ドルの資金調達を実施した。

 ちなみに、NTTデータが世界9カ国にわたって開催したグローバルオープンイノベーションコンテストにて最優秀賞を授賞している。現在はそのテクノロジーを活用し、市民同士の困りごと解決を促進させるアプリを提供している。


● 民間サービス領域「除雪車位置情報把握システム」

 会津若松市にあるベンチャー企業であるデザイニウムが手掛ける除雪車位置情報把握システムは、IoTデバイス向けモバイルデータ通信サービス「SORACOM Air」を活用し、除雪車追跡するものだ。

 奥会津地方では冬季雪害に悩まされており、除雪作業と関連業務の効率化は重要な課題でもある。本サービスはSIMフリーのGPSトラッカーとSORACOM Airを活用しその位置を把握。他の車両の位置情報を把握、効率的な除雪業務を実現した。

 この取り組みの特徴は、地域の課題を地域の民間企業がテクノロジーを活用し低コストに解決する道筋をつけた点にある。このような新しいテクノロジーは日に日に民主化と低コスト化が広がり、地域の課題を地域のシビックテック企業が解決をしやすくなる土壌が整いつつある。まさに課題の地消が進んでいる。


●スマートシティ/実証実験領域「Startup in Residence」「SIDE WALK TORONTO」

 「Startup in Residence」は、2014年よりサンフランシスコ市など4つの都市で開始をした、課題解決型のベンチャー創出システム。

 行政の課題解決に関わるアイデアを募集し、採択されたスタートアップはプロトタイプと検証を経て、行政のサービス・システムとしての利用が検討される。現在は米国だけでなくアムステルダムといった欧州都市にも広がりが見られ、同様の仕組みをロンドンが「Cognicity Challenge」として取り組んでいる。日本でもこの2017年、総務省の「ICT街づくり推進会議(第14回会合)」で「Startup in Residence 日本版」のトライアル実施についての概要が取り上げられた。

 「SIDE WALK TORONTO」は、グーグルの兄弟会社SideWalkLabsがかねてからニューヨークで実験に取り組んでいたスマートシティ。


 先日トロントにて5000万ドルの大規模な初年度投資を行い、プロジェクトをスタートさせることを発表した。トロント東部のウォーターフロントに約324ヘクタールの区域を確保し、次世代エネルギーや自動運転、コネクテッドシティなどさまざまな最新テクノロジーを活用した都市構築をめざす。


●スマートシティ/実証実験領域「鹿児島県肝付町における高齢者見守りサービス」

 高齢化率が40%に近い鹿児島県肝付町。2016年に死亡者を伴う徘徊が発生したこともあり、ICTを活用した課題解決の実証実験を開始した。IoT向けの無線技術であるLPWA(Low Power Wide Area=省電力型の広域ネットワークサービス)を採用し、LiveRidgeが提供する認知症高齢者の見守り捜索クラウドサービス「LiveAir」を活用した。

 取り組みの土台となっているのは「共創のまち・肝付プロジェクト」と呼ばれる肝付町役場を中心とする、行政と民間、市民によるテ共創プラットフォームだ。


●専門性の「垣根を超える」ことが成功のカギ

 シビックテックの全体像と、それぞれの事例について紹介した。ただし、一つひとつの取り組みはまだ発展途上であり、引き続き検証が必要だ。

 しかし共通しているのは、「社会の仕組みをボーダーレス化する力がある」点だ。行政や民間、市民というそれぞれが各自の役割をまっとうするだけでは、山積する課題に対応できない。そこでそれぞれが垣根を少しずつ超え、歩み寄りながら新しいアクションを推進していく姿勢が必要だ。

 専門性を持ったそれぞれのプレイヤーが自分の得意分野を少しだけはみ出し、社会に対して影響を持つ。──それがシビックテックの本質なのかもしれない。


引用元 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171208-00034240-biz_plus-bus_all&p=1




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