記事一覧

1日1回投与の双極性障害うつ病症状治療薬

170815-1.jpg

(日経メディカル・09/01)

 2017年8月30日、双極性障害のうつ病症状治療薬クエチアピンフマル酸塩(商品名ビプレッソ徐放錠50mg、同徐放錠150mg)が薬価収載された。本薬は、7月3日に製造販売が承認されている。適応は「双極性障害におけるうつ症状の改善」。1回50mgより開始し、2日以上の間隔をあけて1回150mgまで増量する。その後、さらに2日以上の間隔をあけて推奨用量1回300mgまで増量する。いずれの場合も1日1回就寝前に、食後2時間以上あけて経口投与する。なお、同一成分の即放製剤(セロクエル他)が2001年2月より統合失調症の適応で臨床使用されている。

 双極性障害は、うつ状態、そう状態の再発を繰り返し、慢性に経過する気分障害である。高い自殺率、アルコール依存症など併存する精神疾患が多いこと、うつとそう状態の反復による社会生活の障害など重大な問題が存在している。日本うつ病学会が作成した『双極性障害の治療ガイドライン(2012年)』では、うつ病治療に⾮定型抗精神病薬オランザピン(ジプレキサ他)、気分安定薬の炭酸リチウム(リーマス他)などの薬剤を紹介し、クエチアピンについては双極性障害のそう病エピソード、大うつ病エピソードに対する治療薬として推奨している。

 非定型向精神病薬は一般的に双極性障害のそう状態に有用性が期待されるのに対し、クエチアピンは唯一臨床試験において双極性障害のうつ状態への有用性が検証されている薬剤であることが知られている。クエチアピンは海外の治療ガイドラインにおいても第一選択薬として位置付けられている。

 これらのことから、日本うつ病学会からクエチアピンの早期開発・承認の要望が提出されていた。その後、「第6回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」(2010年11月)において高い評価を受けたことで、厚労省から開発申請が出され、開発が進められていた。また、開発にあたっては、既存の即放錠が統合失調症で広く臨床現場で使用されていることから、アドヒアランスの向上が期待できる1日1回の徐放製剤が望ましいとされた。

 クエチアピンはオランザピンと同様の非定型抗精神病薬であり、作用的にはセロトニン-ドパミン受容体親和性比が高いだけでなく、他の複数の受容体(コリン、ヒスタミン、アドレナリンなど)に対しても比較的高い親和性を有した多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)というカテゴリーに分類される薬剤である。複数の神経伝達物質受容体に対して作用するクエチアピンは、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)や陰性症状(感情的引きこもり、情動鈍麻など)のみならず、認知症状、不安症状、うつ症状などにも高い効果を発揮する。

 双極性障害の大うつ病エピソードを有する患者を対象とした、国内二重盲検比較試験およびその後の52週にわたる非盲検継続投与試験において、有用性と安全性が確認された。クエチアピン徐放製剤は2007年5月米国で承認されて以来、2016年7月までで、世界90カ国以上で承認されている。

 国内の臨床試験から、臨床検査値異常を含む副作用が84.2%に認められていることに十分注意する。主な副作用には傾眠(50.7%)、口渇(23.5%)、倦怠感、体重増加(各10.9%)、アカシジア(9.1%)、便秘(8.8%)、血中プロラクチン増加(8.2%)があり、重大な副作用としては高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、低血糖、悪性症候群、横紋筋融解症、痙攣、無顆粒球症、白血球減少、肝機能障害、黄疸、麻痺性イレウス、遅発性ジスキネジア、肺塞栓症、深部静脈血栓症が報告されている。また、承認に際して厚生労働省から、既存の即放製剤と同様に高血糖などの発現リスクがあること、うつ病患者では自殺企図のリスクがあることに対する注意喚起が行われている。

元の記事を読む


↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
健康であるうちに読んで頂きたい記事は、こちら








関連記事

コメント

コメントの投稿

非公開コメント