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<犯罪被害者>「加害者の逃げ得、理不尽」半身まひ男性

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(Yahoo!ニュース「毎日新聞」・08/17)

 「どれだけ苦しめばいいのか。加害者の逃げ得が許されるのはあまりに理不尽」。9年前の傷害事件で半身まひや言語障害など重い障害が残った兵庫県の男性(54)が毎日新聞の取材に応じ、絞り出すように憤りの言葉を口にした。民事訴訟で1億6000万円余りの賠償命令を得たが、支払いは一切ない。犯罪被害に遭いながら加害者からの補償を得られずに苦しむ人たちへの支援策は不十分で、専門家は「国による立て替えも含めた確実な賠償の履行が必要」と指摘する。

 男性は2008年5月、仕事で訪れた愛知県内で男(当時34歳)と交通トラブルになって殴られた。転倒して頭を強く打ち、20日間意識不明になった。一命は取り留めたが、左半身のまひや言語障害が残り、記憶力や注意力の低下などの症状が複合的に現れる「高次脳機能障害」と診断された。

 感情のコントロールが難しくなり、周囲には「性格が暴力的」と受け止められた。経営していた電気設備会社は廃業した。

 国の犯罪被害給付金(最大約4000万円)を申請したが、事件の際に抵抗したことが「過失」とされ、支給は大幅に減額されて約420万円。治療費や自宅のバリアフリー工事ですぐ消えた。

 男性は加害者の男を相手取って民事訴訟を起こし、10年に介護費や逸失利益など約1億6300万円の賠償命令が確定した。しかし、男からの支払いや謝罪はない。給与差し押さえのため裁判所の執行官が勤務先を訪れると、経営者は「今日、会社を辞めた」と話したという。男は行方知れずになった。

 男性は訪問介護を受けながら1人で暮らしており、外出には介助が必要。収入は月約4万円の生活保護、施設にいる母のわずかな年金が頼りだ。「朝が来て、夜に寝るとまた朝が来る。それを繰り返すだけの生活です」

 損害賠償の請求権は判決確定から10年。3年後に時効を迎える。再提訴の道はあるが、弁護士費用などがまた掛かり、支払いの保証もない。男性は「『賠償金がたくさん入っただろう』と言われるが、判決文なんてただの紙切れだ」と訴える。

 以前は離婚した妻との間にもうけた長女との面会が何より楽しみだった。事件後は「心配を掛けたくない」と連絡を絶った。中学生だった一人娘は成人を迎えたはずだが、晴れ姿は見ていない。事件から9年。家族の記憶さえ曖昧になったように感じる。「元の体に戻って娘に会いたい」【茶谷亮】

 ◇後絶たぬ泣き寝入り

 加害者の資力不足などから被害者が泣き寝入りを強いられるケースは後を絶たない。被害者支援に関わる弁護士グループが2005~15年に担当した32事件を調べたところ、18事件は全く賠償金の支払いがなく、支払総額は確定額の4.3%にとどまった。

 被害者負担を軽減しようと、兵庫県明石市は14年、殺人など重大犯罪の賠償金を市が立て替える全国初の制度を導入した。まだ適用例はないが、被害者に上限300万円を支給し、市が加害者の資産を差し押さえる仕組みだ。

 被害者支援に詳しい宇田幸生弁護士(愛知県弁護士会)は「不払いが続くと司法の信頼が揺らぎかねない。加害者の財産差し押さえにマイナンバーを活用したり、国が賠償金を立て替えたりする制度が必要だ」と指摘。「犯罪被害は誰もが遭う可能性がある」とし、公費による被害補償の議論も進めるよう訴える。【茶谷亮】

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